icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生24巻3号

1960年03月発行

文献概要

綜説

大気汚染の人体に及ぼす影響とその研究方法

著者: 鈴木武夫1

所属機関: 1国立公衆衛生院労働衛生部

ページ範囲:P.137 - P.144

文献購入ページに移動
I.はしがき
 大気汚染の問題が都市衛生の発展として,我国で一般に広く公衆衛生の部門に取上げられてから数年を経過し,各地方自治団体において調査,研究が進められる傾向が現われ,国における大気汚染対策の必要性が世論として強く主張される様になつてきた。この時にあたり,公衆衛生的対策樹立の必要性を認めつつ,その大気汚染予防方法の実践を効果的に遂行するのをさまたげている一つの理由として,大気汚染の公衆への影響,特に健康──人体への影響についての知識が不充分な事があげられている。又大気汚染対策の遷延のための理由づけの方便として影響,殊に人体の影響の成績不足が利用されている.公害という言葉が英法におけるPublic Nuisanceの事をさすとすれば,この様に健康への害の有無によつて対策の必要性の程度が決定されるという事は遺憾なことであるけれども,現実にはNuisanceという概念が未だ存在していない我国では大気汚染の人体に及ぼす影響,殊に疾病の有無は行政的対策の推進の程度を決定しているといつてよい。
 1273年にすでにLondonでの石炭使用の禁止の法律を通過せしめた英国では1661年にJohnEvelyn1)によつて最初の大気汚染の害を述べた"Fumifugium or the Smoake of LondonDissipated"が発表されたという。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら