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原著
文献概要
寄生虫卵の検査に際しては,最近,集卵法特に浮遊法が重要視されるようになつてきたが,蛔虫卵の検出には,やはり直接塗抹法を行つた方がよい結果が得られている(湯田1957他)。その場合糞便を塗抹・溶解するために,水又はグリセリン水(厚生省1955)やセロファン・グリセリン塗抹法,即ち厚層塗抹法(板橋1958)などが用いられたり,グリセリン寒天液を用いたSM試薬(佐々,三浦1954)などの方法が考案されたりしているが,少人数で集団検便を処理する場合,水のように標本がすぐ乾燥してしまうものでは,標本を沢山つくつておいて,あとで鏡検するというわけにはいかない。このような目的のためには,SM試薬は非常に役立つが,市販のものは高価であり,自作するにも手数がかかり,又,使用に際しては加温溶解しなければならない。私のこのKY塗抹液はこれらの欠点を幾分か除くために作つたもので,ここに報告して御批判を乞いたいと考える。
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