icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生24巻4号

1960年04月発行

文献概要

綜説

大都市における地区衛生組織について—本運動を阻むものの解明と対策への方向づけ

著者: 小林治一郎1

所属機関: 1神戸市衛生局環境衛生課

ページ範囲:P.187 - P.195

文献購入ページに移動
I.はじめに
 いわゆる「蚊とハエのいない生活実践運動」として,本運動が全国的に展開されはじめてから,約5年の歳月が経過し,おびただしい数の人たちが,この運動に参加している。そしてこの運動を支える理論は,一つは生物学,薬学,環境衛生学などの自然科学的なものであり,他の一つは,社会集団を指導する社会科学的なものであるはずだ。前者については,薬剤,昆虫の生態などについて,かなりの業績が出されている。しかし,それにくらべて,後者,とくに都市に適用できる理論の形成ははなはだ遅れている。
 この運動は,はじめ,都市ではある程度進みえても,農村地帯では効果が期待できないであろう,というのが一般の考えであつたようだ。しかしこの予想は,まつたく逆になつた。農村方面では,最近いわゆる「中だるみ論」が唱えられているが,大都市では,本運動が紹介され,一応の広がりはみたが,いぜんとして最初からの「壁」がぬきえない。この運動の方式は,農村地帯で確立し,農村的な地域社会において,自主的な地区組織活動として出発したが,これはそのかぎりでは適切であつた。しかし大都市に関しては,実績が示すように,そのままの運動方式では,大きな展開はのぞみがたいと思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら