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特集 災害対策
伊勢湾台風と保健所の活動
著者: 河野一郎1
所属機関: 1名古屋市南保健所
ページ範囲:P.319 - P.327
文献購入ページに移動伊勢湾台風は昭和34年9月26日の夕刻紀伊半島の南端に上陸し,直径750kmの地域に暴風雨をまきおこしながら,そのまま半島中央部から名古屋市の西方30kmの地点をかすめて揖斐川,長良川の上流部を通過し,26日の夜半富山湾に抜けた。気圧の中心示度は上陸時930mb,上陸後もその勢いがあまり衰えず,名古屋附近通過時で940mbを記録し,市内において最低気圧958.5mb,最大風速45.7mという名古屋気象台開設以来の記録を示した。
この台風は名古屋市の西方30kmをかすめるという東海地方にとつて最悪のコースをとつたため,伊勢湾沿岸一帯に未曾有の高潮をよびおこし,満潮時に近い午後9時35分名古屋港における最高潮位は5.31mと名古屋港検潮始まつて以来の記録をつくつた。そのうえ前日から降り続いた雨は,中部地方一帯に164mm以上の雨量をもたらし,河川は刻々と増水し,それらが強風にあおられ,低気圧に吸い上げられた高潮と合致して,一時に海岸堤防と河口附近の河川堤防を寸断し,名古屋市の南部および木曾川下流デルタ地帯を濁流の渦にまきこんだ。
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