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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生24巻8号

1960年08月発行

文献概要

特集 僻地の保健と医療 僻地における保健と医療の問題

無医地区の性格と対策に関する一考察

著者: 岩佐潔1

所属機関: 1厚生省病院管理研修所

ページ範囲:P.437 - P.444

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I.無医地区の概念とその性格
1.無医地区と僻地の概念
 ある地域の住民の大部分について1つの生活圏を形成しているような区域において,そこの医療需要を満たすための医師が皆無の場合には,その地域は「絶対的無医地区」として定義づけることが出来る。しかし完全に閉鎖された地域というものはないわけで,時間と金と労力をかければ何らかの医療が受けられない地域はない。ただ時間や金や労力が余り沢山要求される場合には現実に医療を受ける可能性は非常に減少する。そこで通常の診療圏の範囲を考えて,そこに診療所がおかれた場合には独立の診療圏が成立すると思われるような地域を「相対的無医地区」として,その上限をかぎる定義づけをする必要が生ずる。
 厚生省の僻地医療対策上の無医地区の要件として「診療所を設置しようとする場所から最寄りの医療機関まで通常の徒歩でおおむね1時間30分以上要する地域である」こととしているのは,まさに「相対的無医地区」の上限の条件づけをしたものとして理解される。ここではさらに「1日3往復以上の定期の公共用の交通機関があつて,当該交通機関を利用すれば所要時間が1時間以内である場合は除くこと」という条件を附している。これら上限の条件の内容が適当であるか否かについては検討の要もあろうが,われわれの研究の出発においては一応この条件に近いものを無医地区として考察を進めている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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