icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生25巻1号

1961年01月発行

文献概要

原著

埼玉県児玉郡における胃集団検診

著者: 高橋淳1 朝倉啓1 後藤吉太郎1 新井和夫1 栗原龍太郎1 栗原博司1 宮本東生1 宇留島庸1 橋郁雄2 加藤敏忠3 西本健4 飯塚治子3

所属機関: 1日本大学医学部有賀内科学教室 2埼玉県衛生部 3埼玉県衛生部予防課 4埼玉県本庄保健所

ページ範囲:P.41 - P.50

文献購入ページに移動
Ⅰ.緒言
 本邦における疾患別死亡率をみると,国民病といわれた結核性疾患による死亡率が激減してゆくにつれ,悪性新生物および脳血管損傷による死亡率が上昇して来た。最近では悪性新生物による死亡率は40歳台では第一位を占め,しかもこのうち消化管系統,特に胃癌による死亡率が過半数を占めている。胃癌患者の統計では根治手術の可能なものは60〜70%であり,切除不能の胃癌生存期間は山形2)によると10.9カ月であるという。根治手術後治癒退院するものはMayoclinikでは40%,中山外科3)では33%であり術後5年の生存率は本邦では15.7〜6.0%に過ぎない。術後5年生存率を永久治癒とするなら胃癌の治癒率は極めて低いといわざるを得ない。この胃癌治癒率の上昇には早期に発見し早期に手術する他に現在のところ方法はない。更に胃癌患者の受診率をみると初発症状が出てから適正診療を受ける迄の期間は増田によると6.9カ月であり,Roach4)等は無自覚性胃癌を50%に発見している。Sallvian5)はこの無自覚性胃癌の5カ年生存率は60%以上であるとし,無自覚性胃癌の発見を強調している。従つて胃癌対策の焦点は無自覚性胃癌をも含めた早期胃癌の発見にあり,胃集団検診(胃集検と略す)の強力な推進が叫ばれるのは当然のことである。問題はその方法である。癌反応の適確なものの見当らない現在,レ線検査による方法が最も現実的である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら