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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生25巻10号

1961年10月発行

文献概要

原著

新らしい感染病Listeriosisについて

著者: 加藤久彌1

所属機関: 1岩手大学農学部家畜病原微生物学

ページ範囲:P.568 - P.572

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 リステリア菌Listeria mon cytogenes(以下L菌と略す)によつて起こる疾病はわが国ではまだ広く知られていないように思われる。それはL菌が病原細菌として登場してきた年代が比較的新らしく,戦前には日本にはその発生がなかつたことにもよる。また欧米においても,L菌が人および動物にわたる広範な宿主域をもち,致死率の高い疾病の原因となることが知られるようになつたのは最近10数年のことである。
 しかしながら1948年田島47)が脳炎症状で死亡した山羊脳の病理組織学的所見かな本菌の日本に侵入していることを示唆して以来,北海道,東北地方に羊,山羊の同様の症例が続発し,ついに1951年旭2)によつて最初にL菌が分離同定されるに至つた。その後現在まで毎年,東北,北海道には家畜のL症が発生しており,ついに人体感染例も4例ではあるが,1958年以降発生するに至つた。この事実は,本菌が何らかのルートで日本にはいり,次第にその発生区域を拡大する傾向を示すものであり,今後わが国の畜産上はもちろん,公衆衛生上重大な影響をおよぼすものと考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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