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特集 社会医学
自治体の衛生行政と地域組織活動
著者: 浜口剛一1
所属機関: 1大阪府吹田保健所
ページ範囲:P.625 - P.627
文献購入ページに移動これまで市町村自治体の衛生行政は「まま子」あつかいにされてきた。市町村は(1)一方では国または府県の指示のままに予防接種・結核住民検診その他の仕事をおしつけられてきたし,他方,環境衛生(2)は全く自治体固有の仕事として,ほうりつぱなしにされ,指導育成はほとんどされていなかつた。このため市町村衛生行政は衛生行政の盲点として残されてきた。最近になつて自治体行政が全般にクローズアップされてくるにつれて,衛生行政の分野でも,地方自治体の比重が漸次高まつてきた。市町村を中心とする共同保健計画構想(3)などもその一つのあらわれであろう。しかし,自治体の行政が画一的であつて,地方の実状にみあつた行政でなかつたのは,ひとり衛生行政だけでなく,自治体行政全般の傾向であつた。ただ衛生行政においてそれが目だつていたにすぎない。これは自治体が「地方自治の本旨に基づく」住民本位の行政を行なつていなかつたことを示しており,住民のニードより上から流されてくる仕事をそのまま実施に移していくことに手をとられていた自主性のなさが自治体行政をこのような低調な状態にしてしまつたといえよう(もちろん,地方財政の貧困のため多くの自治体が財政再建団体となり,独自の事業に対しては自治省からの制約が強かつたのもその一因ではあろうが)。だから自治体の衛生行政を向上させようとるすならば,地域住民のニードを率直にくみとる方策をとらねばならない。
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