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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生25巻2号

1961年02月発行

文献概要

原著

蟯虫の感染源に関する研究(1)—便所扉の把手からの蟯虫卵検索成績

著者: 清水重矢1 阿久沢実1 中林正子1

所属機関: 1日本獣医畜産大学・医動物学教室

ページ範囲:P.118 - P.119

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 蟯虫の感染は接触によつておこなわれるのが普通で,たとえば家族内とか,学校内とか一つの集団内においての相互感染がそれである。一方において個人的には自家再感染が常時くりかえされている。このことは蟯虫の生物学的習性に由来するもので,本虫の疫学上もつとも重要な意義を有するところである。
 わがくににおける蟯虫蔓延の実体については,資料が不完全なためにあきらかではないが,Graham(1941)によつてScotch tape法が考案されてこのかたCellophane tapeによる検査が広くおこなわれるようになり,地区的にはその浸淫の状況が次第にあきらかになつてきた。今日までに報告された多くの成績を綜合してみると大体40-50%を中心として60-80%,ときにはそれ以上の陽性率を示している。このような実状から判断して,蟯虫は広汎かつ濃厚に国民の間に寄生蔓延しているものと想像される。したがつてわれわれの生活環境いたるところに,感染源としての蟯虫卵が散布される可能性を考えると,すぐれた蟯虫駆除薬が出現した今日であつても,その感染防止ということはなかなか困難な問題であり,しかも重要な課題でもある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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