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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生25巻7号

1961年07月発行

雑誌目次

綜説

WHO技術援助の利用

著者: 滋賀秀俊

ページ範囲:P.365 - P.369

 筆者は昭和31年8月からWHO職員として在マニラ西太平洋地域事務局に教育訓練Adviserとして勤務していたところ,本年早々任を終えて帰国した。筆者が担当していた仕事を通じての感想もあつて,そのうちお役に立つものでもあれば幸と思い,若干述べてみたい。
 WHOについては十分知られていると思うが,あまりよくご存知ない向きもあるかと惧れ,他方,筆者の記述の内容とも関係があるので順序として最初に簡単にWHOについて記しておく。

英国における社会医学(その2)—undergraduateの社会医学教育について

著者: 黒子武道

ページ範囲:P.371 - P.376

 筆者はさきに社会医学に関する2,3の論文中で,社会医学の概念,その起源と発展について考察と批判を行つて来たが,これらの論文にも詳述した如く,社会医学は現在,多義に解されており,見解の一致を見るに至らないが,社会医学が医学と社会の関連についての新しい観点と発展を示すものであり,医学とその実践の広汎な改革を達成する医学の新しい原理と諸活動を含むものと理解されることを指摘した。いずれにしても,社会医学は既に治療医学とその形態による医学教育が,社会の医療に対する要請に耐えないことを認めてあり,医学教育の改革こそ社会医学実現への先決要件と考えられるのである。事実,今次大戦後に開催されたこの種の国際会議においても,又諸外国に於ける国内会議においても,社会医学が医学教育に関する緊急な課題として,特に医学校における学科課程の問題として論議されたのであつて,医学教育の体系の中で社会医学の占める位置と機能の検討は極めて重要な研究課題と考えられる。

福祉国家スエーデン

著者: 吉田寿三郎

ページ範囲:P.377 - P.384

 スエーデンの社会福祉政策は25年前から一新した。彼等が中道を行く社会保障制度と誇るこの政策は確かに注目に値するものであろう。
 今やいわゆる社会保障プログラム体系をほぼ完成している。もはや社会保障制度の要否などは論外となつた。

日本における衛生行政研究小史(その1)

著者: 橋本正己

ページ範囲:P.385 - P.393

 衛生行政研究の水準を高めるためには方法論の反省が必要であるが,このための第一歩は従来の研究の系譜を明らかにし,これを分類整理することであろう。前掲の小論においてはこのような見地から,衛生行政学が成立するために必要な理論的条件を考究するとともに,衛生行政学の母体ともいうべき一般行政学および公衆衛生学におけるアプローチの側面ないしはその方法論に学びつつ,衛生行政研究の方法論について若干の考察を試みた。
 わが国の公衆衛生の領域における研究は,周知のように第2次大戦における敗戦を契機として,主として他律的な条件が大きかつたとはいいながら,政治,行政,経済,教育等に抜本的改革が進められ,その一環としての公衆衛生行政と公衆衛生に関する教育制度の大きな変革によつて,その気運が著しく促進され,とくに近年においては衛生行政そのものを研究の対象としこれに接近する努力が徐々にではあるが力強く育つてきていることは否定できない。

―公衆衛生最近1年間の進歩―母子衛生

著者: 船川幡夫

ページ範囲:P.394 - P.396

はじめに
 1年間というと長いようであり,又短い。この間にどのような進歩があつたかということは仲々こたえにくいものである。一体,進歩であるか否かということは,余程長い目でみるとか,極めて慎重に考えた上でないと軽々しい評価はできない。気がつかなかつたことが,後年になつて,はじめて進歩であつたのかと改めて見直されることさえあろう。こういう意味で,進歩であるか否かは別として,この1年間に母子衛生活動の上で,どのようなことが話題に上り,どのような変化がおこつたかということのいくつかを,筆者のせまい見聞のノートからひろい出してみた。

原著

一林業村における林業作業による災害に関する調査研究

著者: 柳沢文徳 ,   両角森雄 ,   榊詢

ページ範囲:P.397 - P.402

緒言
 林業作業に関する災害は,作業現場の立地条件が不良であり,そのような状況下で,取り扱いにくい木材の処理より,災害が発生すれば,傷病程度も強度であろうということが予測される関係上,重視しなければならぬ。しかし,資料の関係からそれらについて判明している点が極めて少ない。最近では妻鹿等1)が奈良県の国有林に従事する作業者の災害について詳細なる報告があるのみである。著者等も林業村における健康問題を解析すべく,埼玉県で有数な林業栽培地である入間郡名栗村を撰択して,各方面について検討を重ねてきたが,同村においての死亡死因の研究中,不慮の災害による死亡率が比較的高いことに気付いた。同村は林業従事者で占められているということから,林業災害を受けた者も多いと推定し,現居住者に対する過去の林業災害の実態について,昭和33年5月31日現在で調査し,その解析をした結果,二,三の成績が得られたので,ここに報告する。

公衆衛生外来相談臨場経験(その4)—某はがね工場における環境衛生学的調査

著者: 高野正明 ,   岩村昇 ,   伊藤淑子 ,   亀家朗介 ,   石丸利之 ,   原隆子 ,   村江通之

ページ範囲:P.403 - P.414

緒論
 労働者の健康を支配する要因としては労働者自身の身体内部からの要因と作業の性質や方法などの作業環境の条件から来る外部的要因との二つがある。
 労働条件のうち,労働者の健康に最も大きな影響を与えるのは職場環境,特に作業場の環境であることは,労働の歴史がこれを証明しているところである。従つて工場管理に当つては職場の環境は最も重要視されるべき事項なのである。

文献

老年人民の憲章

著者: 芦沢

ページ範囲:P.376 - P.376

 Geriatricsのこの号は,あげてことしの1月に開かれたエイジングに関する全米ホワイトハウス・コンファレンスの特集をしている。その第1分科会人口のすう勢―その社会的経済的関係――において次のような憲章が声明された。
老年人民の憲章

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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