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総説
胃癌の成因とその周辺をめぐる問題
著者: 佐藤徳郎1
所属機関: 1国立公衆衛生院
ページ範囲:P.27 - P.39
文献購入ページに移動人の癌は地理病理学も教えるように,人間生活の場において捕えなければならぬものであって,その作用因子は限られた条件しか備えぬ固定した実験条件や,観念の外にはみ出ている可能性がある。また実験上動物にあてはまる発癌の条件が,人間にあてはまるか否か,問題視される場面もあり,整理を要する。かつてのコレラ,ペスト,結核その他の伝染病原菌の発見が示したように,原因がわかってしまえば,それまでの種々の学説は厳密な批判を受けることになるのは歴史的な必然である。研究者は絶えずこのことを念頭におき,自己の言動に反省を加えなければならない。また学説に止まらず,民衆の啓蒙に従事するときは特に慎重を要すると考えられる。
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