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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生26巻10号

1962年10月発行

文献概要

綜説

界面活性剤について—特に中性洗剤ABSを中心にして(3)

著者: 柳沢文徳12

所属機関: 1東京医科歯科大学 2農村厚生医学研究施設

ページ範囲:P.569 - P.584

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はじめに――ABSと公害――とくに社会問題
 衣類,食器の洗浄,工業面への応用に用いられるABSが,微生物による非分解のために,米国,ドイツ,英国を始め,諸外国では土壌滲透による地下水の汚染,井戸への滲透,河川への流入,上水道汚染,下水侵入による浄化作用能の低下などの公害問題が十数年前より発生している。
 かような環境衛生上,重要な問題がABSの普及により生ずることが,わが国でも外国の文献の推勢を注目すれば明らかに予測されうるにもかかおらず,それらに対する何らかの施策がなされぬままに現在までに至った。環境衛生行政上,はなはだ遺憾である。前にのべたが家庭用のうちで,食器,野菜使用を厚生省が奨励した以後において,衣類洗剤としても,その使用量が増加したことを考えると,この奨励時に適確なるABSによる公害問題対策を樹立してなければならなかったのである。なぜか当時の施政者は普及のみに力を入れ,公害対策につき無配慮であった事実を,公衆は批判し,あらためて行政の欠陥を十分に吟味する必要がある。この無定見なる考え方の現われが,去る国会委員会の席上,85)五十嵐環境衛生局長の答弁,すなわち玉川浄水の水道水にABSが0.9ppmもすでに侵入している旨の発言である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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