icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生26巻11号

1962年11月発行

文献概要

特集 社会医学(第3回社会医学研究会講演) 一般演題

乳児死亡をめぐつての社会医学的考察

著者: 丸山博1 南吉一1

所属機関: 1大阪大学医学部衛生学教室

ページ範囲:P.615 - P.617

文献購入ページに移動
 戦後日本の乳児死亡率の低下をもって国民の健康水準向上の証拠だとする主張や,保健技術進歩の結果もはや乳児死亡は国民健康のバロメーターとして役立たなくなったとする意見などがあるが,まさしく乳児死亡は社会医学の課題たりえなくなったのであろうか。本稿ではこの点に考察の焦点を合わせた。
 乳児死亡を客観的に標識する際いつも統計数値が用いられるのだが,その統計の基盤はあまり問題にされていない。われわれは,乳児死亡の評価をある特定の単一指標に求めることは科学的にみて無理であるばかりか危険であり,それは出生前後に関するいくつかの指標の関連の下に行わなければならないことを終始一貫指摘してきた。その最大の理由は,現行社会制度下において,人間の出生,死産,死亡といったデリケートな事象が正確に統計的に把握されうるとは考えられないこと,および関連諸事情の変化にあってはそれらの事象自体すらが自在に操作されうる現実があることのためである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら