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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生26巻2号

1962年02月発行

文献概要

特集 ポリオの疫学(その1) 総説

ポリオの流行発生機序の考察

著者: 金光正次1 河原林忠男1 遠藤正之2

所属機関: 1札幌医科大学衛生学教室 2札幌医科大学小児科学教室

ページ範囲:P.60 - P.66

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 最近各地にポリオの流行が頻発したため,予防ワクチンや治療剤に対する関心とともに,本病の疫学的研究の重要なことが改めて認識されて来た。これはひとり学問上の興味に止まらず,その知識は防疫対策の基本となるものであるから,わが国の近年の現状からすれば,むしろおそ過ぎた感がないでもない。われわれは過去10年間諸種のウイルス病について,その流行発生の機序を研究して来たが,たまたま一昨年の北海道におけるポリオの大流行に遭遇し,この問題について若干の知見を得,それを同年の日本公衆衛生学会に報告した。今回はその後に得たわれわれの研究を中心として,この問題を考察したい。
 疫学の見地からすれば,すべての疾病の流行は病因,宿主,環境の3要因間の平衡が破れ,病因の力が相対的に優勢になった時に発生する。しかし各要因はその中に多数の疫学的因子を含み,各要因の果たす役割とその相互関係は疾病の種類により必ずしも同じでない。とくにポリオのように不顕性感染が多く,病原ウイルスにいくつもの型がある疾病では,その関係ははなはだ複雑で,まだ不明な点も少なくない.よって,初めにポリオの流行発生におよぼす個々の要因の意義を述べ,次いでそれを総合して,その発生機序を考察しようと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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