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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生26巻4号

1962年04月発行

特集 都市計画

都市計画と公衆衛生

著者: 小林陽太郎1

所属機関: 1国立公衆衛生院建築衛生学部

ページ範囲:P.176 - P.182

文献概要

両者の関連
 都市計画と公衆衛生との関連について記せという編集部のすすめに従って,本来この問題の専門家ではないが,両方の分野に関連を持つ立場にあるものとして,資料を参照しながら記すしだいである。
 都市計画の定義をその法律によりみれば,大正8年制定の同法に「都市計画とは交通・衛生・保安・防空・経済等に関して永久に公共の安寧を維持し又は福利を増進するための重要施設の計画にして市又は主務大臣の指定する町村の区域内に於て又は区域外に於て執行すべきものをいう」とある。すでに42年以前の定義であって,根本的改正はその間に行なわれていないから,いかに古いものであるかがわかる。また一方公衆衛生の定義をWHO(世界保健機構World Health Organization)の憲法においてみると「健康とは無病息災であるというばかりではなく,身体的に,心理的に,社会的に幸福な状態をいう」とあり,その健康を社会的基盤において維持・開発することがその目的であると記されている。こういう原理的な見方をすると,両者には共通点,共同の目標があることが明瞭であるが,現実の姿においては,非常に関連の少ない状態にあるといわなくてはならない。極端な表現をすることをあえてするならば,今日までのわが国の都市計画は区画整理と道路行政を中心として来たといっても過言ではないであろうし,一方公衆衛生は伝染病予防行政におもなる力を尽して来たといっても許されるであろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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