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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生26巻6号

1962年06月発行

文献概要

特集 コレラ・パラコレラの疫学 流行史

日本のコレラ

著者: 高部益男1

所属機関: 1厚生省防疫課

ページ範囲:P.323 - P.325

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 わが国の最初のコレラ流行は,今を去る140年前の文政5年(1822年)と記録されている。8月に山陰山陽方面に流行し,わずか1カ月のうちに近畿におよび,軒並みの被害を受け1家全滅などの惨状を呈したといわれる。その前1817年には,コレラが初めて常在地のインドのベンガル地方から発して国際諸国に広がり,1820年から1821年へかけてジャワで大流行をみた。この第1回世界流行が遂にわが国にもおよび当時唯一の開港場であった長崎より侵入したものと推定されている,その後20年ほど経て関東,東北方面でコレラ様疾患の流行があったが,症状,流行状況などの詳細が不明のため,果たしてコレラであったかどうか断定されていない。
 次の流行は,安政5年(1858年)から万延元年(1860)へかけて襲来した。すでに安政2年には長崎在留のオランダ人を通じて第3回世界流行の情報がはいっていた。中近東アジアからヨーロッパ諸国,さらに中南米へおよび,インドシナ,ジャワ方面へは流行の初期である1852年にすでに大流行が始まっていた。ジャワ島では大雨が降り続き,また欧州でも河川の氾濫の上クリミヤ戦役が重なって流行による被害は増大したといわれる。わが国ではまず安政5年6月長崎に侵入した。長崎在の医師ボンベの説によれば,中国より来航した合衆国軍艦によって持ち込まれたとしているが,侵入し各地へ波及した経路は明らかでない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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