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文献概要
特集 コレラ・パラコレラの疫学 流行史
フィリッピンその他のコレラ
著者: 岩田昌一1
所属機関: 1厚生省検疫課
ページ範囲:P.330 - P.334
文献購入ページに移動私は厚生省におきまして日本国内へのコレラの侵入防止という面を担当しておりますので,担当者といたしまして,いろいろな対策に参画してきたわけでございますが,私はその侵入防止という全体の考え方から,お話を申し述べてみたいと思います。さきほどお話がございましたように,世界に流行があります時に,どうしても日本にはいってくる。世界と申しても主として東南アジアでございますが,そういう時にだいたい日本にはいってくる。まあ100%はいってくるんじゃございませんが,そういうふうなことが,従来の疫学的な面からみまして可能性が強いということがいえるのでございます。さきほど飯村先生のお話にございましたように,ちょうど140年前,文政5年にはいる。それから安政5年というふうに,大流行がありました。それでさっき防疫課長のお話のように,しさいに検討すると,明治になるとほとんど毎年,大中小の流行があり,大正年代までだいたい続き,昭和にはいりましてからポツポツあるというようになり,ことに戦後になってから昭和21年に出たきり出ていないのであります。すなわち最近におきましては日本に侵入しないという経過をたどっているわけでございます。
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