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綜説
界面活性剤について—特に中性洗剤ABSを中心として(1)
著者: 柳沢文徳1
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部
ページ範囲:P.365 - P.377
文献購入ページに移動わが国において,界面活性剤(後に定義する物質)であるABSの生体におよぼす影響に関する研究がきわめて少なく,また毒性に関する研究の外国文献紹介が見当たらぬのに私は驚いた。もちろん系統的に調査したわけではないが,非イオン系の2,3の活性剤およびカチオン活性剤は第4級アンモニウム塩である逆性石鹸を中心とした文献は容易に見出しえたが,アニオン活性剤とくにABSについてはほとんど見当たらぬ。
ABSは昭和26年に輸入され,洗剤として普及し,次で昭和31年に野菜・果物・食器の使用として始まり,昭和33年よりこの方面の使用は急速にのびたわけであり,また洗浄用としても広く利用され,必然的に飲用水にも侵入する可能性があるのにもかかわらず,当時経口からの影響,皮膚への影響,上・下水道問題などの研究が,日本において皮膚科領域を除き何ら研究がない。
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