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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生26巻9号

1962年09月発行

文献概要

特集 母子衛生

乳幼児の精神発達とその指導

著者: 平井信義1

所属機関: 1お茶の水女子大学

ページ範囲:P.494 - P.497

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はじめに
 乳幼児の精神衛生にとって最も重要なことは,精神発達にたいする理解である。精神発達にたいする理解が乏しくては,乳幼児の指導を誤り,保育を混乱させる。乳幼児の指導に当るものは,精神発達についてじゅうぶんに理解している必要があり,その点で両親の啓蒙にも当らなければならない。両親は,子どもにたいする教育の義務がありながら,その義務を実現するための勉強をしていない。それ故,乳幼児の発達を無視した保育を行っている。そのために,乳幼児が異常行動を示し,やがては人格の歪みを呈することも少くない。母親学級又は両親学級において,乳幼児の精神発達にたいする理解をじゅうぶんにしてもらうよう,努力を重ねていきたい。3歳児の検診又は幼児検診において,精神衛生が考慮されるようになったのは,そうした意味があると思う。
 乳幼児期は,人格形成の基礎を作っているときといっても過言ではない。知的発達のみならず,情緒的発達の基礎は,乳幼児期において一つの方向が打ち出される。特に,暖い人格の持ち主にするためには,この時期における暖い保育が必要である。このことは,Spiz,Bowlbyなど欧米の精神医学者が,ホスピタリズムの研究から強調しているところである。すなわち,乳幼児の精神衛生にとって最も重要なことは,情緒の発達が順調に営まれるように指導することである。それには先ず,情緒の発達がどのように行われていくのか,よく現解していなければならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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