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特集 母子衛生
最近の母子衛生に希望する
著者: 山下章1
所属機関: 1東京都渋谷保健所
ページ範囲:P.508 - P.508
文献購入ページに移動如何に消化不良を起していようと,とにかく口の中へつっこめば,いくらかは消化もする,栄養にもならないわけではなかろう。しかし,それでは本元の体がもたない。どこの保健所でも乳幼児クリニックというと,おすなおすなの盛況である。毎日毎日その盛況のためにおしまくられて考える暇もない。乳児健康診査にしてみても,毎年毎年繰返して,ただ何となく年中行事としてやっておる。そしてその中から健康優良児を選び出し,表彰をする。ただそれだけで終っているところが大部分である。最近になって,ようやく,クリニックにしても,乳健にしても,もっと基本的に考えなおさなければいけないという兆が出てきたところである。そこへ,新生児家庭訪問指導,3歳児健康診査,妊娠中毒症家庭訪問指導と矢つぎ早やに新事業をおしつけられて,その事務処理だけでも大変なことになってしまった。といって私はこれらの事業の不要論者では決してない。何れも重要な,そして是非やりたい,やらなければならないことばかりである。従来乳児に偏していた対策を幼児まで手をのばしてきたこと,母子衛生対策の基本でありながら,その活動が一番弱かった妊婦対策の第一歩として妊中訪問をとりあげたのは何れも大賛成である。それだけに,どうしても立派にやってのけ,成果を挙げなければならない。そのためにはひよわな体力ではどうにもならない。
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