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特集 地域開発と住民の健康—(社会医学研究会特別報告)
2.堺臨海工業地帯
著者: 東田敏夫12 細川汀12 若野六花枝12
所属機関: 1社会医学研究会関西ブロツク 2関西医大社会医学研究室
ページ範囲:P.588 - P.591
文献購入ページに移動近畿圏整備法は各府県各様の反応を示す中に与野党一致で国会を通過したが,その中心を形造る大阪湾臨海工業地帯の造成は,すでに昭和33年10月から進められている。
堺市は昭和32〜33年の合併により現在人口約40万,面積123.18km2(人口密度3254人/km2)の中都市で,刃物,自転車,敷物などの中小企業が多く,同時に大阪市のベッドタウンの機能を併せ有するが,第1図に示す通りに,この都市の大阪湾沿岸の全地域に約2,000haの埋立地と,その立地条件を活用するための港湾・道路・臨港鉄道及び工業用水路の整備によって,大工場の誘致が計画されている。またこの臨海工業地帯の周辺に,中小工場地帯・商業地帯・グリーンベルト・集団住宅地帯を配置した都市計画が立案されている。土地造成には約600億の尨大な公共投資や公債が費されており,すでに「サイは投げられている」が,この計画が住民の健康と生活に及ぼす影響について,社会医学的検討は十分ではないように考えられる。筆者らはこの点について主要な問題を指摘し,住民の福祉と保健を保証する綜合的な開発計画の進行を期待するものである。
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