icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生27巻12号

1963年12月発行

文献概要

綜説

国民栄養の現在と将来—その2

著者: 冨士貞吉1

所属機関: 1日本WHO協会

ページ範囲:P.664 - P.672

文献購入ページに移動
8.Rose disease
 この病気は,その症状からRose diseaseと呼ばれ,現在ではまた,ペラグラ(Pellagra=rough skin)と呼ばれている。潜在性飢餓でおこる疾病の一種であって,皮膚に猛烈な勢で紅斑ができ,病人はついに精神不安,精神障害を起して死亡する。第一次大戦の直前ではU.S.Aの南部では年間1,000名以上が,本病で死亡した。被害の最も甚大であったのはミシシッピー川流域であった。アメリカのJoseph Goldbergerはここで本病の対策に死闘を繰返した。
 Goldbergerは本病の死因は中毒でもなければ,伝染病でもないと主張し,患者の血液を自体に注射をしたが,なんの反応もなく,病気にかからなかった。ミシシッピー流域は綿花の産地であって,この地方の食物は至極単調で,食物といえば殆んどトウモロコシに依存していた。そこでGoldbergerは本病の原因は,この食物のなんらかの欠陥によって起るものと考えて,死刑囚にこの食事を与えたところ,皮膚にものすごい紅斑が現われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら