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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生27巻2号

1963年02月発行

文献概要

綜説

乳癌の発生要因に関する研究—(2)年令別罹病率曲線の解析と栄養因子

著者: 佐藤徳郎12 街風喜雄3

所属機関: 1国立公衆衛生院 2日大医学部衛生学教室 3関東逓信病院産婦人科

ページ範囲:P.83 - P.94

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 前報1)において日本に乳癌が少なく,西欧に数倍も多いのを吟味して次のような結論をえた。1)日本の未婚婦人の乳癌は既婚,子供のある人達より2〜30%高いだけであるので,授乳で西欧との差を説明することのできぬ点を指摘し,日本の未婚婦人にも作用している既婚婦人と共通の因子が考えられねばならぬことを明らかにした。2)日本婦人の乳房の発育維持は西欧婦人よりも劣るものが多く,老年でその差が拡大するが,その原因は栄養性因子が大きく,カロリーの制限と動物性食品の差(蛋白,脂肪)によることを明らかにした。3)乳腺の発育には成長ホルモン,estrogensmineral cortiloidの必要だというLyonsらの動物実験2)をもとにし,人間でも成長ホルモンの作用を発揮するために必要な,カロリー,アミノ酸,脂肪酸などの要素が必要であり,それが不足すると乳腺の発育を妨げ,萎縮させ,過剰は発育を促進し,閉経後もそれを維持するのに役立つ。4)動物実験の資料でも栄養因子が乳癌発生に大きな役割りを持っていることを明らかにしている。成長ホルモンの作用に必要な栄養素材の過剰により乳腺を絶えず刺激状態におくと,その一部に乳癌を発生し易いと仮定すると,西欧と日本の差,社会層による死亡率の差,特に貧困家庭に少ないこと,子供のある家庭に少ないことなどが矛盾なく説明される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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