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綜説
結核と精神障害に対する公衆衛生活動—時代の要求する新しいニードとは何か
著者: 大谷藤郎1
所属機関: 1厚生省公衆衛生局精神衛生課
ページ範囲:P.419 - P.424
文献購入ページに移動わが国の公衆衛生の歴史をふりかえってみると,明治前半期に天然痘・コレラ・ペストなどの急性伝染病の流行があいついで,公衆衛生の中心が防疫であった時代から,やがて明治後半期になって,急性伝染病の大流行が下火になり,それにかわる結核の増加に対処することが公衆衛生の中心となった時代へと,中心となる疾病が移行していったことが,特徴的な事実としてあげられる。
大正年間に執筆された内務省の医制50年史は,すでに前者を第1衛生不良の時期,後者を第2段の衛生行政の時期と呼んで,明瞭にわけてしてきしている。そして,その後結核が解決のあけぼのを迎えるにいたるまでには,そのしてきの後さらに30年の歳月を要したことは,今日からみて実に印象ふかい。それは長い年月であり,その間に二つの世界大戦がたたかわれたことが思いあわされる。
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