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原著
仙台市内に於ける井水,簡易水道水及び河川水の中性洗剤(ABS)による汚染調査について
著者: 関敏彦1 菊地文清1
所属機関: 1仙台市衛生試験所
ページ範囲:P.509 - P.511
文献購入ページに移動昨年来有害無害で問題となった中性洗剤は昭和37年11月4日,食品衛生調査会が国立衛生試験所,慶応大学医学部での実験結果より普通に使用している状態では全く害がないという報告を行い中性洗剤の問題は一段落した。中性洗剤は,食器,野菜等の洗滌用及び洗濯用と,その使用範囲はきわめて広く今日においては,大都市において85%,全国平均で64%の世帯に普及使用されており,今後益々使用量の増加が考えられる。中性洗剤の主成分であるABS(アルキルベンゼスルホン酸ソーダ)は分解しにくく,強い浸透力を持っているので一旦井戸水中に混入したABSの除去は困難であるといわれている。飲料水に含まれる中性洗剤の許容量については,我が国では基準が設けられていないが,米国保健省ではその許容量を0.5ppm以下に規定している。最近当衛生試験所に市民から「井戸水が泡立つ」といって水質検査を依頼されることが多くなってきており,井戸水中にABSが多量に検出されるということは下水,その他廃水に依り常時汚染されていることが推定される。しかしながら我が国における井戸水中のABSの量の調査報告例が少いので,たとえ井戸水中のABS量を分析定量しても,その量の多少を比較することができないので仙台市内井戸水200件余についての水質検査を,ABSについてはmethylen Blue法で実施し,他の項目については厚生省令第23号水質基準に関する省令の試験法に基づいて実施した。
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