icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生28巻10号

1964年10月発行

文献概要

地域活動の中から 保健所と大学をむすぶ新しいきづな

公衆衛生学の中心は保健所であらねばならぬ—札幌医科大学の試み

著者: 金光正次1

所属機関: 1札幌医科大学衛生学

ページ範囲:P.546 - P.547

文献購入ページに移動
 最近の保健所の事情をよく知らないので的はずれになるかもしれないが,保健所と大学との関係について私見を述べたい。
 保健所が当面しているいろいろな問題のなかでいちばん切実なのは医師が足りないことではないかと思う。われわれにその補給を求められても,こちらも手不足だからなかなか応じにくく,これにはまったく当惑した。また数はそろっているが質の上で問題の多いところもあるらしい。ちょうど,そのころ厚生省の公衆衛生修学生制度が発足し私の大学からも5,6名が志望採用された。それで学生のときから刺激を与えれば将来の仕事に自覚を深めるだろうと考えて,市民の罹病調査をやらせた。大きい仕事のほうがはりあいもあるだろうと思って520世帯2,000名を1年間継続して訪問調査する計画をたてた。すこしむりかと思ったが,彼らは同級生や保健婦生徒を多数糾合して調査班をつくり,ついにこの仕事をやってのけた。また,このときのリーダーになった学生は,各大学の修学生に呼びかけて全国会議をひらく計画をたて,連絡などで大分苦労したらしいが曲りなりにも第1回の会合を実現した。このときの修学生からは1名の脱落者もなく,全員が各地の保健所で所長や課長などをつとめている。この経験から学生に情熱を燃やさせることが公衆衛生にすすむ者を生みだす根源であることを知った。しかしこの情熱を持続させるには卒業後の彼らの身柄をあずかる行政当局の協力がなければならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら