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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生28巻12号

1964年12月発行

文献概要

談話室

綜合保健と保健婦

著者: 塚原国雄1

所属機関: 1東京大学・公衆衛生看護学

ページ範囲:P.662 - P.663

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 ■医学の発展と綜合保健 医学は病気の治療を主とすることで発達してきたが,近代になってその対象も病気の人体から,それをとりまく自然環境・社会環境へと拡がり,医学の一分科として衛生学ついで公衆衛生学が生まれ,ついに現在の綜合医学あるいは綜合保健を目ざす方向に向かってきた。
 初期の衛生学は,環境に眼を向けはしたが,上下水・換気・照明およびそれまで悩まされてきた伝染病の予防などを主としており,これらは健康管理上基本的のものではあるが,せまい環境衛生に限られていた。社会機構や生活環境に注目し,これと健康との関連を考えるようになったのは,産業革命(1760〜1830)以後といえよう。英国にはじまった産業革命によって,一方に大都市と少数の富裕者が,他方に疲弊した農村と多数の貧しい労働者が出現するようになった。この労働者の間には,不健康・悪疫・犯罪が流行し,解決には,社会の諸条件の改変が不可欠であることを示したのであった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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