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特集 清掃事業の現状と将来
し尿処理の現状と将来
著者: 三浦運一1
所属機関: 1京都府衛生研究所
ページ範囲:P.241 - P.245
文献購入ページに移動古来わが国のし尿は,肥料として農業上不可欠な有価物とされ,農村は勿論,都市のし尿もそのほとんど全部が農村に運ばれ,肥料に用いることによって処分されて来た。これがわが国における消化器伝染病と寄生虫病蔓延の根本原因であって,極めて非衛生的な方法ではあるが,ともかくこれで一応,量的処分が行われていたのである。
しかるに大東亜終戦後はその様相が一変し,化学肥料の普及と農民がし尿の如き不潔物の取扱を厭うようになったこと等により,農村のし尿需要量は年々急速に減少し,加うるに都市の急激な人口増加と相まって,都市は従来のように農村還元で処分できないいわゆる"余剰し尿"が激増し,これをいかにして処分するかが焦眉の急となって来た。
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