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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生28巻8号

1964年08月発行

文献概要

事例

ウエルシー菌食中毒(集団発生例より)

著者: 長崎護1 善養寺浩2 坂井千三2

所属機関: 1東京都衛生局公衆衛生部食品衛生課 2東京都衛生研究所

ページ範囲:P.448 - P.454

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緒言
 ウエルシー菌食中毒はKnox & Mac Donald(1943)1)により耐熱性A型菌によるものが報告されたのが最初であり,1953年にはHobbs1)らにより,英国において学校に発生した例が報告されている。一方,耐熱性F型菌による食中毒は1947年〜49年にドイツに発生し,耐熱性A型菌による食中毒と異なり,出血性腸炎症状を呈し,死亡率40%に及ぶ重症型のもので,これについてはZeissler & Rassfold-Sternberg2),Hain3),Oakley4)らにより報告されている。
 我が国におけるウエルシー菌食中毒は,1959年5月,北海道において学校給食により発生し,中村ら5)により報告されたほか,青山ら6),堀ら7),山県ら9,9)により報告された数例にすぎない(第1表)10)。東京都においては,本菌による食中毒と決定された例はかってなく,今回報告する例が最初であり,かつ,患者数1,491名に及び,我が国における本菌食中毒例中最大の規模のものとなった。我が国におけるウエルシー菌食中毒は,いずれも耐熱性A型菌によるものである。またわが国においてはウエルシー菌食中毒は比較的稀なものと考えられているが,社会,経済の発達により,食生活形態の変化が起こっており,将来は本菌による食中毒は必ずしも稀なものとは考えられない。そこで,今回の発生例の概要を報告し,本菌食中毒予防の参考とする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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