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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生28巻8号

1964年08月発行

文献概要

原著

赤痢疫痢と下痢腸炎考—(3)日本の下痢腸炎死亡率の高い理由とその対策についての考察

著者: 佐藤徳郎1 福山富太郎1 佐藤喜代子2

所属機関: 1国立公衆衛生院,栄養生化学部 2元:東京医大,小児科

ページ範囲:P.459 - P.461

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 胃炎,十二指腸炎,腸炎,大腸炎(B36)の死亡のうち腸炎,大腸炎によるものは幼年期は大部分,老人年期でも7〜80%を占めている(昭35年)。大正の末期からのB36のうつりかわりをみると1)(第1図)階段的に下降し,現在では大体10%以下となっており,特にその死亡の大部分を占めていた0〜4歳において変化が著しい。終戦当時までに半減したものが,昭和30年で約8年の間にさらに1/5に急速に減少しているが,生活水準の向上,抗生物質の使用,保健所などの乳幼児の相談事業の普及が大きな因子となっていると考えられる。その後の低下傾向はなおつづいており,5年間にさらに半減している。しかし,年齢別死亡率を欧米などの外国と比較すると2)(第1表)日本の死亡率は現在なお著しく高いことが理解される。0歳では,6〜9倍,1〜4歳では13〜20倍,75〜79歳の老年では10〜18倍の高位にある。日本の下痢腸炎による死亡率は従前にくらべれば下降したものの,西欧に比較すると未だに非常な高位にあり,その原因を考察することは将来の対策をたてる上にも,必要な事項と思われる。
 先に疫痢の発生原因について考察を加えたが,同様に家庭内における下痢に対する処置,治療の面で,過去から現在への移りかわりと現在における古い型の存在を中心に考察を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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