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特集 綜合保健活動成立の条件—第22回日本公衆衛生学会総会シンポジウム
はじめに
著者: 西尾雅七1
所属機関: 1京都大学
ページ範囲:P.558 - P.559
文献購入ページに移動戦後の医学の急速な進歩の恩恵をうけて急性および慢性の感染性疾患の脅威が薄らぎ,いわゆる成人病と俗称されている疾患群が国民保健の問題としての重要性をいよいよ高めてきており,しかも将来においては現代より以上に,その重要性が高まってくることは必須である。このような疾患群は今日の医学の知識においては,これがこの病気の原因だと確に指摘しうるものがなく,日常の生活活動が営まれている中に発生してくる病気であるだけに,過去において国民保健の問題として重要性をもっていた感染性疾患および栄養障害に対してとられていた保健活動の態度では十分に対処できないことは明らかである。また一方戦後における人口政策のコペルニクス的転換によってもたらされた出生率の低下の現状と将来のわが国の人口構成とを考えあわせる時,母子衛生面の活動の重要性はいよいよ高まり,その充実が緊急性をもってきている。このような国民保健とつながりのある諸現象は,わが国における医療の在り方に大きな反省を求めている。これに対し予防と治療とが渾然一体となって綜合的に運営されることの必要性あるいは予防活動,治療活動および更生医学的活動の有機的な結びつきの必要性などが,わが国においても各方面からすでに指摘されている。このような予防活動,治療活動(もとより診断を含んでいる)および更生医学的活動とが渾然一体となって運営されるとき,それを綜合保健活動と呼ぶことができよう。
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