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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生29巻4号

1965年04月発行

文献概要

特集 農村の保健 主題

農村保健の課題と対策—高度経済成長下の農民の健康障害を中心にして

著者: 若月俊一1

所属機関: 1佐久総合病院

ページ範囲:P.188 - P.194

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■変貌する農村・農家・農業
 現在,農村は急速にそのかたちを変えている。第一,最近の高度経済成長は農業人口を著しく流出させ,いわゆる「地すべり」的変動をひきおこしている。特に若い世代の流出が大きな問題である。次に農家のはげしい兼業化の増大である。その中で,古い農村の封建的ななごりがぬぐい去られたとはいえないが,新しい村の近代化への道がどんどん進められている。農家の生活も,古い「家」の制度は解体しつつあり,近代的な家族関係が急速に芽生えている。資本主義的な考え方,賃労働者的根性も急速に伸びつつある。昔からの「四つん這い仕事」の零細な経営から,機械化,共同化への新しい努力が始まっている。
 しかし,こうした新しい姿にもかかわらず,他面,貧しいもの,お粗末なものが依然として内部に残っているのはどうしたことか。--そして,それが,今日農村民の健康をむしばんでいる元兇のように思えるのだ。それは,農村の変貌が成長した自分の力で自然になされたのでなく,いわゆる高度経済成長の工業本位の施策の中から,いわば外部の力によって「ムリになされた」ためではなかろうか。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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