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特集 都市化と保健活動 談話室
都市と保健をめぐつて
著者: 田中正四1
所属機関: 1広島大学
ページ範囲:P.306 - P.307
文献購入ページに移動詩人のウィリアム・クーパーは「神は農村をつくり人間は都会をつくった」とうたっている。都市化urbanizationとは,都市の人口が爆発的に膨脹し,その反面,農村の人口が急激に減ることをいうのであるが,この傾向は今日ではヨーロッパや米国よりも,アジア,ラテンアメリカの諸国や,ソ連,アフリカなどにも見られるようになった。
都市の人口集中のきっかけとなったのは産業革命,蒸気機関の発明で,工業と交通が飛躍的に発達したためである。イギリスではすでに1850年頃には国民の40%が都市でくらしていたし,ヨーロッパであふれた人間を吸収した当時の新興国,米国でも1870年頃には25%が都市生活者であった。しかし世界の人口学者を驚かせたのはアジアの一小国日本の都市人口集中の急激さである。大正9年(1920)にはわずか18%にすぎなかった都市人口が,昭和35年(1960)には63%と急増し,現在では70%をこしているものと推定される。
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