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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生29巻7号

1965年07月発行

文献概要

特集 伝染病予防 新しい伝染病—その課題と対策

伝染性肝炎

著者: 乗木秀夫1

所属機関: 1日本医科大学衛生学教室

ページ範囲:P.378 - P.381

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■まえがき
 伝染性肝炎(流行性肝炎)は,血清肝炎と共に,いまだ,病原学的,免疫血清学的な診断法の確立をみないウイルス病として,また,現在多発し,流行の様相を示している伝染病として,世間の注目を浴びている疾患である。
 その初期症状が軽いことから,同様な症状を示す他の疾患と区別することもなかなか困難で,主要症状と考えられる黄疸でさえ,欠除し,無黄疸性肝炎として経過し,数カ月後突如として高熱をもって再燃,電撃性に進行し,急性黄色肝萎縮の像を示しながら,片手の掌に隠されるぐらいの肝になって死亡するような,恐るべき結果を生みだすことさえある。また,急性期がようやく過ぎ,治癒と認められた後も神経性肝症候群を残し,全身倦怠,目まい,食慾不振などという日常の生活を暗くする神経症状を残していく。また,慢性化し,肝硬変へと移行し,20年後の悔を残したり,原発性肝癌の原因ともなるのではないかとさえ,真剣に採りあげられている。これが伝染性肝炎である。この伝染病学的な詳しい調査は,すべて貴重な人体実験成績によって明らかにされたといってよい。患者の血液,糞便材料を健康な協力者に,咽頭粘膜を通して,また経口的に与えることはよって,同様な症状を呈したことから,その材料処理によってウイルスを確認し,その抵抗性を知り,感染経路,排泄経路を知ったわけである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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