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文献概要
特集 伝染病予防 新しい伝染病—その課題と対策
腸内ウイルス疾患
著者: 多ケ谷勇1
所属機関: 1予防衛生研究所
ページ範囲:P.383 - P.387
文献購入ページに移動腸内ウイルスはヒトの腸管の細胞で一次的に増殖する小型(径28mμ前後)のウイルスで中心にリボ核酸を持っている一群のウイルスであり,いろいろの疾患と関係があることはよく知られている1)。中でもポリオウイルスは,いわゆる小児まひの病原ウイルスとして非常に恐しいウイルスであるが,同時に予防対策も広汎に研究され大きな成果が収められた。その他に,腸内ウイルスには,ウイルスの性状からコクサッキーウイルス(A群とB群とに分けられている),エコーウイルスに大別される数多くのウイルスが含まれる。これらのウイルスは,ポリオウイルスに1,2,3型の血清学的な型があるように,コクサッキーA群にはA1-A22およびA24の23の血清型,B群にはB1-6の血清型,エコーウイルスにはエコー1-7,9,11-27,29-33型の30の血清型がある。コックサッキーA23はエコー9と同じであり,エコー8はエコー1と同じ血清型である。またエコー28は諸性状が腸内ウイルスと並んで別の一群をつくるライノウイルスに一致するもので,将来ライノウイルスの1血清型となるであろう。エコー10は腸内ウイルスより大きく,またその性状も異り,むしろ別の独立した群のウイルスと考えられ,レオウイルスという名で呼ばれている。
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