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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生29巻7号

1965年07月発行

文献概要

特集 伝染病予防

流行予測—その課題と対策

著者: 松田心一1

所属機関: 1国立公衆衛生院疫学部

ページ範囲:P.405 - P.413

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■流行予測の目標
 フロストによると,"流行"Epdemicというのは,伝染病も含めて疾病異常のほんの一時的な分布の様相あるいは状態を指すものであって,元来集団中においては疾病異常の発生分布は,それに関与する諸要因,すなわち疾病異常の働因と生活環境と宿主集団との三つの要因が,互いに"動的均衡"Dynamic Equilibriumを保つことによって制御されているものであるが,たまたまその均衡が明らかに破れてしまう程度の規模をもった疾病異常の一時的な増加があった場合,これが正しい意味の流行であると解釈する。したがって流行の意義と内容とをこのように理解すれば,こうした意味の流行に関する研究調査は当然疫学の領域に属する。公衆衛生上から見て,疾病異常の流行機序を明らかにし,これを防禦ないし予防する方策をうち立てることは,疫学の窮極の目標とするところであることはいうまでもない。この意味で伝染病予防の上に,古くから果たしてきた疫学の役割は,決して過小評価されてはならない。過去において,猖けつをほしいままにした多くの恐るべき悪疫が,今はその姿をひそめるにいたったものも,2,3に止まらないのは,疫学の功績に負うところが大きい。もちろん,これには疫学とならんで重要な役割を果たしてきた細菌学,免疫学,伝染病学その他の諸科学の恩恵をもわすれてはならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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