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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生29巻8号

1965年08月発行

文献概要

連載講座 公害・3

大気汚染

著者: 松吉康夫1

所属機関: 1厚生省環境衛生局公害課

ページ範囲:P.486 - P.489

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 公害問題がこの数年急速にクローズアップされた背景には,経済の高度成長,人口の都市集中などをあげねばなるまい、しかし,公害問題が特に一般国民の関心の的になったのは,大気汚染によりわれわれの健康が徐々にむしばまれているという衛生関係者の警告に負うところが多いといっても過言ではあるまい。1962年のロンドンスモッグ事件を契機とし,四日市問題,東京,大阪のスモッグが連日のようにマスコミをにぎわしたのは,それまでの例が主として産業間のトラブルであり,当事者以外の者にとっては対岸の火事視するきらいがあったのと異り,全市民の問題として考えねばならなくなったところに起因するところ大なるものがあろう。しかも白覚的には被害認識が浅いという点に大気汚染の騒音,悪臭などとの大きな相異がある。もちろん,公害防止の観点からいって大気汚染であれ,あるいは水質汚濁,騒音振動,地盤沈下であれ,その重要性に甲,乙があるわけではない。にもかかわらず,大気汚染問題は公衆衛生の分野がらみて,とくに重要な意味をもっている。大気汚染の問題は,気象学,医学,分析化学,工学などあらゆる分野の専門知識を必要とし拡散,影響,除じん装置などそのどの一つをとっても重要であり,しかも奥行が深く,とうてい満足を得るような記述は筆者の能力の及ぶところではない。筆者は公害行政にたずさわる者として,ざっと表面のみ述べることとする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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