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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生29巻9号

1965年09月発行

雑誌目次

特集 綜合保健と公衆衛生看護活動 談話室

綜合保健と公衆衛生看護事業

著者: 西川滇八

ページ範囲:P.494 - P.495

〔1〕
 ミシガン大学Conflict Resolution研究センターのK.E.Boulding所長は1),"現代文化の後にくるものは何か"という論文において「芸術や建築,音楽ならびに文学の世界においては,ヨーロッパは次第にアメリカ的風潮に同化されようとしている。しかしアメリカにいると,いかにも日本的に変りつつあるがごとくである。何れにせよ,現代文化が行きづまって,新しい時代へ脱皮しなければならないので,その出口を探しているのであろう。」といっている。つまり,一応文化の進歩した国々では,その水準から一歩を筆頭に走らすために新しいディメンジョンを探しもとめていることには相異がない。綜合保健という概念の導入とその適用を考えていく上では,われわれもやはり同様の「胎動」を感じ,努力をはらっていかねばならないのであろう。公衆衛生看護事業にしても,従来の「保健婦」を脱却して,綜合保健活動に協力する新しい「保健婦の活動領域と活動方法」を確立する必要にせまられるわけである。
 科学が発足したのは文化の所産である。知識を体系化して綜合的な理解に到着する道を切り開いたのは近代文化の功績といえよう。この点を考えれば,1650年代は古代エジプトと同様にわれわれよりはるか原始の時代と見なすことができる。

主題

公衆衛生看護活動の本質と医療機関

著者: 大国美智子

ページ範囲:P.496 - P.499

 「公衆衛生看護活動の本質と医療機関」というテーマから,読者の皆さんが頭に浮かべられる内容は,きっと多種多様であるに違いない。明けても暮れても,結核予防対策に追廻されている保健所の保健婦さんや医師ならば,あの予防法の申請に始まり,入院・通院の勧奨から,家庭訪問に必要な指導を主治医から得るまでの,保健婦と開業医との関係を,まず連想されることであろう。病院などに働く人達では,外来産科で行われる母親教室のことなど,あるいは国保診療所で働く保健婦さんの中には,レセプトにまつわる保健婦らしくない業務を強要される時の嫌なことなどを思い起されるであろう。そこでまず,これらの公衆衛生看護活動と医療機関との具体的関係の種々相を,私なりに,保健婦の歴史を遡る立場から考えてみたいと思う。

公衆衛生看護活動の本質と実態

著者: 木下安子

ページ範囲:P.500 - P.508

□まえがき
 医療制度調査会の答申1)などにより包括的医療あるいは綜合保健医療(Comprehensive Health Care)の実現が叫ばれる時代となり,何らかの期待が保健婦にむけられてきているようである。しかし,保健婦は治療と予防の一本化という観点から常に実践してきたことであって特に目新しいことがらでもなく,綜合的な人々の健康生活樹立のための活動とは将来像・未来像ではない。しかも現状のように医療と公衆衛生が切りはなされた中で,この実を結ばせることは苦労な能率の悪い仕事である。それでも地道に日々,地域で努力が続けられているのだといいたい。この与えられた機会に,あまりにも平凡なことあたりまえすぎることである「保健婦の仕事」というもの,その中核である「保健指導」という仕事を,もう一度あらためて見なおしてみることも無駄ではあるまい。

海外事情

デンマークおよびイギリスの公衆衛生看護活動—その実情と考え方

著者: 野沢園子

ページ範囲:P.509 - P.513

I.デンマークにおける公衆衛生看護活動
 北欧諸国のうち特にデンマークにおける公衆衛生看護活動について述べる前に,その背景として一般的な情報および保健事情の概略をご紹介したいと思う。デンマークは人口わずか460万(東京の人口の約1/2),その約1/3が首部コペンハーゲンに集中し,面積は西海岸を除いてほとんど人の住めないGleenlandおよびFaroe Islandを除いて,北海道の約3/5に相当する43,000平方粁を有している。人口密度は103(日本255),人口構成の65歳以上が占める割合は10.4パーセント(日本6パーセントである。職業別人口は産業関係約30パーセント,農業20パーセントとなっている。気候は夏摂氏17〜8度,約半年間が冬でこの寒い気候に耐えるには暖房完備の重厚な住宅が必要である。そして日照時間のうち40パーセントが日射時間という太陽の貴重な国である。国民所得は第1表に示すようにわが国の約3倍,生活形態では複合家族はみられず単純家族として生活を営なんでいる。結婚年令は比較的若く,女子の職場進出もめざましく,人口の都会への流入によって住宅不足も問題となってきている。

アメリカの公衆衛生看護活動—その実情と考え方

著者: 小林富美栄

ページ範囲:P.514 - P.516

 アメリカにおける公衆衛生看護事業は1893年ニューヨーク市に英国で教育を受けた看護婦によって訪問看護協会が設立され,貧困と病気とで苦しんでいる家族のために,訪問看護による援助をはじめられたのがその起りである。以来この事業は最も迅速に発展したところの組織だった地区保健事業の1つである。2回の世界大戦期において国民の保健事業の緊迫した必要性に対し,大いに活動しその価値を社会に示してきている。公衆衛生看護事業は一般的に経営主体からみて2つの体系に区別される。すなわち,税金によって支持されている公的組織体が行うものと,寄附金,共同募金などが主体となって経営されている私的組織体によるものとである。市,カウンテイ(日本では郡に相当する)州政府,合衆国政府などの公衆衛生局に属する保健婦の活動は前者に該当するものであり,訪問看護協会の活動は後者の代表的なものである。両者の組織体の行う看護サービスは大体公的機関においては伝染病の予防的活動が主体となり,私的機関では家庭におけろ病人看護が中心的機能となっていたが近年はこのようなサービスの区分が的確につけられない程,社会の要求は両組織の活動の結果を接近させている。

ソ連の公衆衛生看護活動—その実情と考え方

著者: 橋本正己

ページ範囲:P.517 - P.518

まえがき
 近代公衆衛生活動とそれを支える各種の技術者の機能分化,養成訓練などについては,欧米諸国の場合には過去1世紀の間に,ほぼ一定のパターンが形成されているといえる。日本の場合にも類型的にみればこれらのパターンは,欧米諸国とくに第二次大戦後においては,アメリカの影響を大きく受けて今日に至っていることはよく知られていうとおりである。ところで,少くとも第二次大戦前においては,欧米の先進資本主義諸国は世界の指導的地位にあり,公衆衛生活動についてみてもこのことは例外ではなかったのであるが,大戦後はいわゆる東の諸国としての社会主義諸国の発展がめざましく,公衆衛生活動やそれを支える技術者のパターンについても,従来西の諸国にはみられなかったような新しい方式が登場してきたことは注目されてよい。このことは公衆衛生看護活動についてもいえるのであり,従来ともするとソ連では保健婦というものはみられないというような見方があったのであるが,これは表面的な見方であり,ソ連の綜合的な保健活動の中ではアメリカやイギリスにみられるような専門分化した独立の職種はないが,公衆衛生看護活動の実質的な機能は,力強く進められているといえるのである。

フランスの公衆衛生看護活動—その実情と考え方

著者: 岡部宗雄

ページ範囲:P.519 - P.520

まえがき
 BCG創案者の1人であるパストゥル研究所のカルメット博士が「家庭訪問による衛生教育,予防衛生実地指導を通して,家庭経済を確立するのに必要な専門職種を制定すべきである」と彼が行った医療社会事業調査の結果,提案したのは1901年のことであった。第一次大戦間1917年にU.S.A.のロックフェラー財団がモルガン女史をリーダーとする有力な保健婦のメンバーを,戦災の最も激しかった北仏ソワソンに送りこみ,6年間資金や機材事面から強力な援助を続けた。ここにフランスの公衆衛生看護活動の歴史が拓かれたのである。しかし第二次大戦後,フランスの公衆衛生活動がWHOの「健康」観に即応し,市民生活に滲透するためには従来の米国式公衆衛生活動だけでは不十分であることに気付いたようである。かくして「1951年3月31日の法律」が公布された。この法律によって「訪問看護婦」制度は廃止され「社会助手」制度が創設され,フランスの公衆衛生看護活動はより広汎な領域に及ぶようになった。フランスには日本のような保健婦制度は現存しないのである。社会助手の資格はフランス公衆衛生人口大臣の認可した公立または公益法人立の養成機関で3年間修業したのち,国家試験により与えられる。この3年間の第1学年は看護婦,助産婦と共通であるが,第2,第3学年では心理学はじめ社会福祉事業に関する専門教育が重点的に行われる。

西ドイツの公衆衛生看護活動—その実情と考え方

著者: 池田忠義

ページ範囲:P.521 - P.523

わが国との差異
 公衆衛生看護は,日本と西ドイツの間で,次の3点で差異を指摘しうる。
 1.西ドイツの保健所では,保健衛生サービスが家庭や地域だけでなく,学校保健を1つの部門として加えている。この制度が,西ドイツの学校保健の高い水準と技術的発展の原動力であることは疑問の余地がない。

主題参加 公衆衛生看護活動はいかに推進されるか

病院における公衆衛生看護活動

著者: 前田アヤ

ページ範囲:P.533 - P.537

国際社交界を彩る女性……(16)
既に4,000家族を救けた訪問看護婦の元祖――公衆衛生普及のために働く斎藤みどりさん――
 斎藤みどりさんは熟語本位の「和英大辞典」を著し,正則英語学校の校長だったわが英語界の大恩人故斎藤秀三郎先生の三女だ。麹町5番町の大きな邸宅,その中にしとやかに納まるべき姫御前であるべきに。あられもない,築地聖路加病院の一隅,公衆衛生訪問看護婦会を組織しミス・ヌノの指導のもとで,男まさりの活動を続けている。このヴィジッチング・ナースは全く新しい仕事で,4年前,ミス・ヌノがアメリカから来て斎藤みどり,天海晨子,安達よし子さん達5入がスタートを切ったのがわが国での最初だったそうです。
 「私個人のことは何も書いて下さいますな,仕事といっても,まだほんの一歩を踏み出したばかりですから,私の名前を新聞に出すのさえ気がひけます。」と謙遜しながら,しかし,会の仕事なら,皆さんに知って戴きたいからと明快な口調で話す。

病院における公衆衛生看護活動

著者: 小林ゆき

ページ範囲:P.537 - P.539

届け出制でない疾病への管理はいかにすべきか
 現在私が働いている所は病床数727床,外来患者数1日約1,200余名を持つ綜合病院である。保健医療従事者数約700余名,うち専門的従事者約450名,間接的従事者約250余名である。その中にあって当係は下記の業務を行っている。健康相談は乳幼児,妊婦,主婦,慢性疾患が対象であり,家庭訪問は乳幼児,慢性疾患が主なるものである。保健婦6名,事務員1名にして従事しているが相談数は患者数(入院,外来共)の5%にすぎない。これも表面上にあらわれたニードに対して行っているのであるから潜在しているニードははるかに大きいものと考えられる。比較的恵まれた医療機関内でもこのようであるから連繋の重要性を痛感する。では現実的にはどうしたら良いのだろうか。先ず一番に取り上げたいのは,法的に届出制のない疾病患者の管理である。特に問題となるのは治療中止患者である。把握方法は診療機関では患者記録の中から,保健婦であれば家族健康管理の中から引き出される。しかし診療機関殊に外来においては記録は専ら医療費請求の資料として活用されそこまで追及していないのが多い。経済的な基盤がなければ動きのとれないのは当然の事であるが,考え方によっても左右される。医療目的は患者を健康な状態にするのであるから,大いに阻害する因子は取除く努力が必要である。

事業所における公衆衛生看護活動

著者: 富山明子

ページ範囲:P.539 - P.541

 臨床医にもう少し公衆衛生的な考え方を理解してもらえればもっと保健婦は働きやすいだろうと,私も含めてよく保健婦達が口にする言葉である。一面の理由はあるにせよ,唯これだけでは愚痴をこぼしているだけにすぎない。保健婦の立場として果たして私自身公衆衛生的考え方は理解出来ているのかどうかを反省する時疑問を感じる事がある。公衆衛生活動に置ける保健婦はそのすべてではなく,保健婦がその中の部分的役割である事を認識し,他の公衆衛生従事者との役割関係においていかなる位置を占め,いかにあるべきかの理解の有無が問題である。そのためには公衆衛生看護活動を自主的な場として,確立すろことではないのだろうが。

事業所における公衆衛生看護活動

著者: 岸洋子 ,   小田健子

ページ範囲:P.541 - P.546

□まえがき
 現状の事業所の公衆衛生看護活動は,保健婦が企業の系列下に属するか,あるいは附属病院の中に属しているか,または健康保険組合あるいは労働組合に属するかなどその設置目的が異なることから,それぞれ特色ある活動が行われている。このような現状の中でどのような組織とその中での位置に保健婦が属し,どのような公衆衛生看護活動を行うべきかについては,種々未解決の問題が残されている。しかしこれは単に保健婦あるいは公衆衛生看護だけの問題でなく,より根本的に従業員の健康を守る健康管理方式が考えられなければならないと考えられる。従って今回は事業所の公衆衛生看護活動がその属する立場によって異なることを考慮して,どの事業所においても公衆衛生看護活動上必要と思われる基本的観点について2,3述べてみたい。現在種々の観点から注目されている中小企業について,N事業所での健康管理の試みを紹介し,そこでの公衆衛生看護活動の問題点を検討したいと思う。

地域における公衆衛生看護活動

著者: 上村聖恵

ページ範囲:P.546 - P.547

医療と保健活動の本質
 公衆衛生活動を含め,医療の本来の目的は広く国民全体が,その時代,その社会での最高の医療水準の恩恵を受けられることである。そこには当然貧富による格差があってはならないし,また生活する地域(僻地,孤島など)によっても格差があってはならない。このような考えから高知県においては,すべての地区保健活動における地域格差を最小限に止め,すべての地区住民に一定水準の保健サービスを保障しようとして,保健所保健婦の地区駐在制を昭和23年より実施している。
 駐在保健婦制の意図するところ,あるいは,今日に至った過程とその現状については,すでに数多くの報告を行っているので,今回は省略するが,駐在保健婦制をとっている本県の公衆衛生看護活動と,医療機関との関連について日頃考えている事を,2,3述べてみたい。

編集室レポート

保健所保健婦と医療機関

著者: 景山

ページ範囲:P.527 - P.532

 綜合保健という考え方がいわれてから数年を経過し,最近大きくクローズ・アップされてきた。保健婦業務の中にもその胎生の萠芽は隠されていたようだ。医療との結合なしには時代の要請に適合する活動の推進は望めない。保健婦の人と仕事を通してその芽を育成する要素,阻止する原因などを探索してみた。

ニュース資料

新潟の「水俣病」

著者: 渡辺厳一

ページ範囲:P.524 - P.525

□流行の状態
 新潟市には,2つの大きな河が流れている。それぞれは,直ちに日本海へそそいでいるが,第1の川はいうまでもなく信濃川である。他は,群馬県尾瀬沼,福島県猪苗代湖に水源をもち,現在「水俣病」で脚光を浴びている阿賀野川である。この原稿を執筆している今日までに,有機水銀中毒と確実に診断されたものは13人,うち5人は死亡した。これらの患者は,河口から5粁以内の両岸の住民,しかも特定の魚を多量に食した成年男子に限られている。患者の分布は教室の吉田が作製した第1図のとおりである。発病は,昨年8月から今年4月頃までで,その後の発生は今のところみあたらない。問題の性質上,当初診断をくだすことは必ずしも容易でなかった。新潟大学脳研究所と県衛生部が中心となり,問題地域内における軽症患者の発見に努めている。しらみつぶしの家庭訪問により,120人をscreeningし,逐次精密検診を行っている。今後,多少の増加はあるかもしれないが,一応流行は終熄しつつあるように思われる。

人籟

松香私志—抄出

著者: 長与専斎

ページ範囲:P.493 - P.493

〔5〕
 旧幕府海舶互市の制行はれたる頃彼の国より輸入せる薬品は,和蘭政府の薬庫より我が政府に送りたる条約品にして一般医師の手に入ること難く,偶々手続きを経て之を得るときは趙璧隋珠の如くに珍重し,舶来といへる語は其の品物の精良貴重なることを意味して毫も疑を容るゝことなく亦疑ふべきものにもあらざりしなるべし。されば衛生局は先づ司薬場を設け,薬品を購入せんとするものは何人にても此処に持出だし無費にて検査を受け得ることとなし,尚ほ重要なる薬品若干種を挙げ其の麁悪品を販売するものは相当の罰に処すべき旨を布達し,其の他薬品取締に関する種々の規則を発布し,一方には医学部内に薬学科の教場を開く等,外は麁悪薬品の輸入を制し,内は薬業社会の改良を促すことに力めたりき。当時薬品の取締は只司薬場検査の一方のみにて辛くも弊害の甚しきを制するに過ぎず,それさえも我に薬局方の規定あることなければ一定の標準を欠き,検査の際には各国薬局方の一に応ずる薬品にしあれば総て適用品として許可せざるを得ざるの有様なれば,同一の薬にして大に強弱精粗の度を異にするものあり,需要者の不便一方ならず甚だしきは用薬上危険の恐れなきにもあらざりき。日本楽局方の必要漸く世上に感覚せられ,十三年中始めて内務省に日本薬局方編纂委員を設けられ前年余が「ゲールツ」「トワルス」の二氏(司薬場教師)に托して調査せしめたる草稿のありけるを籍りて原案とし其の審議を始むることとなれり。

連載講座 公害・4

水質汚濁

著者: 田口勝久

ページ範囲:P.548 - P.551

□まえがき
 近年都市周辺の人口増加と産業の発展にともない公共用水域の水質汚濁が急激に現われ,われわれのうける被害も広汎にわたって発生しており,特に水産,農業,公衆衛生の分野においては直接的な被害が相次いで発生し,大きな社会問題となっている。公共用水域の汚濁問題は世界各国にもみられるところであるが,わが国ではつぎのような特殊事情があって,さらに問題が複雑である。
 (1)明治以来比較的短期間に近代工業を導入したため,鉱工業には先進国ほどのゆとりがなく,企業による汚水処理施設の整備が遅れている。

時事内報

精神衛生法の改正

著者:

ページ範囲:P.526 - P.526

 精神衛生法は昭利25年5月制定され,その後数次にわたって改正されているが,最近における社会情勢の著しい変化,精神障害者対策の強化についての社会的要請,あるいは精神医学の画期的な進歩などに伴い,従来の精神衛生法では新しい事態に即応し得ない状勢となり,同法は抜本的に改正されるべき段階となってきた。そこで厚生省では昭和39年5月,精神衛生法の改正について精神衛生審議会に諮問し,これが答申にもとづき,精神障害者に関する発病予防から社会復帰までを一環とした施策として推進すべく法の改正案を第48回国会に提出した。今回の改正により新たに推進されることになった主な点は次のとおりである。

モニターレポート

村全体を健康にしよう—長野県朝日村健康モデル村建設5力年計画実施,他

著者:

ページ範囲:P.499 - P.499

 長野県の松本市から車で約1時間ほどのところに,人口約4,700人の小さな村がある。山々に囲まれて静かに眠っているような農村,長野県東筑摩郡朝日村がそれである。主産業は農業だが全面積の6/7が山林という条件の中ではさしたる収獲も望めない。田畑が平均7反歩という耕地では,年々純農家が減少し,25年には専業農家483,第一種兼業168,第二種兼業168であったのが,昨39年には専業農家248戸,第一種兼業220戸,第二種兼業300というように大きく変動してきている。この村に突然大部隊がくりこんできて,村を1週間の間ゆさぶりつづけるような事件が起った。
 去る7月18日から24日の間,信州大学医学部公衆衛生学教室と松本保健所,長野県立公衆衛生学院保健婦科の三者からなる計46名が,村にただ1つの旅館 "間登男の湯" に陣どって,村の健康管理基礎調査を展開したのである。家族構成から生活指導までも含めた,主婦を対象とした聞きとり調査は,静かに息づいていた村民に大きな衝撃を与えた。

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NEWS REFERENCES in July '65

ページ範囲:P.552 - P.553

水俣病の発生を未然に防げ(1日・朝・社説)
 有機水銀中毒で6省庁が調査範囲を拡大新潟の有機水銀中毒事件の原因をつきとめるため,厚生省,科学技術庁,経済企画庁,農林省,水産庁,通産省は協力して大がかりな共同調査を行うことになった。(1日・朝)

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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