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特集 綜合保健と公衆衛生看護活動 談話室
綜合保健と公衆衛生看護事業
著者: 西川滇八1
所属機関: 1日本大学公衆衛生学教室
ページ範囲:P.494 - P.495
文献購入ページに移動ミシガン大学Conflict Resolution研究センターのK.E.Boulding所長は1),"現代文化の後にくるものは何か"という論文において「芸術や建築,音楽ならびに文学の世界においては,ヨーロッパは次第にアメリカ的風潮に同化されようとしている。しかしアメリカにいると,いかにも日本的に変りつつあるがごとくである。何れにせよ,現代文化が行きづまって,新しい時代へ脱皮しなければならないので,その出口を探しているのであろう。」といっている。つまり,一応文化の進歩した国々では,その水準から一歩を筆頭に走らすために新しいディメンジョンを探しもとめていることには相異がない。綜合保健という概念の導入とその適用を考えていく上では,われわれもやはり同様の「胎動」を感じ,努力をはらっていかねばならないのであろう。公衆衛生看護事業にしても,従来の「保健婦」を脱却して,綜合保健活動に協力する新しい「保健婦の活動領域と活動方法」を確立する必要にせまられるわけである。
科学が発足したのは文化の所産である。知識を体系化して綜合的な理解に到着する道を切り開いたのは近代文化の功績といえよう。この点を考えれば,1650年代は古代エジプトと同様にわれわれよりはるか原始の時代と見なすことができる。
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