icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生3巻1号

1947年11月発行

雑誌目次

原著

本邦各種死因の季節的變化に就いて

著者: 大森博子 ,   安場登喜子

ページ範囲:P.297 - P.303

緒言
 各種の疾病の死亡が,季節に依つて種々の影響を受ける事は周知である。然し,その影響が疾病に依り程度の差があり,また季節的に差異あることに就いては,傳染病は疫學的見地から種々檢討されてゐるが,他の疾病をも含めた總括的な觀察は殆どされてゐない。故に各種の死因相互の比較に重點を置いて,主要な死亡頻度の多い疾病を選んで,統計學的な觀察を行つたのである。

論説

衞生學の教育

著者: 齋藤潔

ページ範囲:P.303 - P.304

 過去2年の間に本邦の行政組織は一大改革を遂げた。中でも衞生行政は,改革の先陣を切つてその姿を整へた。次に來るものは,この新しい陣容を動かす人の問題である。衞生技術者の養成訓練の問題が取り上げられる順序である。衞生學教育には醫學校に於ける學生に對するものと,醫師たるもので衞生技術者たらんとするものに對する専門教育とがある。既に衞生技術者である者に對する補習教育と専門教育である。以上が衞生學の教育の本筋であるが,更に醫師以外の教育を受けたものに對して,衞生學を授けて特殊の技術者たらしめんとするものもある。これら衞生技術者の養成を目指す専門教育は,その技術の信頼によつて夫々の分科に分れてゐる。最近各國で行はれている衞生技術の分科には次の7科がある。1)醫學科2)衞生藥學科,3)衞生獸醫學科,4)榮養學科,5)衞生監視學科,6)衞生工學科,7)保健姉學科。
 この中醫學科は醫師たる衛生技術者の養成を目的とし,藥學科は藥剤者に對し,獸醫學科は獸醫に對し,また衞生工學科は工學を修めた者に對して衞生教育を行ふものである。榮養と衞生監視の兩學科は中等學校又は專門學校卒業に對して行つている。尚,衞生技術者として米國に於ては口腔衞生専門技術者(Oral Hygienist)が認められている。衞生が進歩し,衞生の分野で働く各専門技御者が要求せられるに至つたのであるが,衞生學が廣範な學問であることがうなづかれる。

研究と資料

細菌より見たるアイスケーキと錢湯について

著者: 寶意武彦

ページ範囲:P.305 - P.308

まえがき
 終戰を迎へて人心の一大波瀾と共に,一般衞生的觀念は低下し,やゝもすると我々日常生活に於ける極く身近なことにも無關心でゐることが多い樣に思はれる,如何なる所にこのような缺陷があるか指摘し,その改善をはかることは我々公衆衞生發達に關心を有する者の一つの責任であろう。このような意味で,最近最も我々に關係の深いものとなつた夏期清凉飲料の第一位であるアイスケーキ並びに錢湯の細菌學的檢査を行つた。以下簡單にその報告をしたい。

今囘の腸チフス・パラチフス混合ワクチン注射實施上の所見

著者: 守田文彦

ページ範囲:P.308 - P.313

 今夏來東京都において實施したチフス豫防注射の結果を記して御參考に供したい。
(1)ワクチン 本年2月27日厚生省制定の細菌製劑規準に從つて作られたものである。使用腸チフス菌株は米國から分譲されたNo. 58株(一名ボツクスヒル)である。ワクチン1cc中の菌量は腸チフス菌0.7mg,パラチフスA及B菌各0.2mg,計1.1mgであつて,これまでの0.3〜0.4mgに比べると約3〜4倍濃厚である。菌株は優秀で,そのS型を用い,菌量は多く,無菌試驗は嚴格である(ワクチン20ccを用いて好氣性ならびに嫌氣性培養を37℃と22℃の2組に分けて行う)。勿論安全試驗と力價試驗をパスしなければならない。それゆえ檢定合格品は非常に立派なものと思われる。併し私共の經驗によれば合格品の中にも多少の異状を認めることがある。

ツベルクリン反應陽性率の數學的考察

著者: 島尾忠男

ページ範囲:P.313 - P.317

I)ツベルクリン反應の陽性率を年齢の函數で表はす事
年齢xに於けるツ反應陽性率をf(x),人口をg(x)とすると年齢xに於ける陽性者數はf(x)・g(x)
年齡(x+Δx)に於ける陽性者數はf(x+Δx)・g(x+Δx)

昭和21年4月より7月に至る間浦賀檢疫所において分離したコレラ菌の型について(其の一)

著者: 重松逸造 ,   小片保 ,   兵藤敏朗

ページ範囲:P.318 - P.321

1.まえがき
 昭和21年3月29日引揚邦人を滿載して廣東を出港した引揚船V075號が,一路内地に向け航行中,4月1日以來連日1〜5名の下痢叉は吐瀉患者を發生し,4月5日浦賀港に入港するに及び同患者は眞性コレラと診定されるに至つた。これが昭和20年10月外地よりの引揚を開始して以來はじめて内地に侵入したコレラの初發患者である。爾來同年5月上旬に至る迄引續き同方面よりの引揚船にコレラ患者を續出し,更に5月中旬海防よりの,6月下旬には釜山よりの,7月上旬より中旬にわたる上海よりの引揚船にコレラ患者を發生した。この間,浦賀檢疫所においては前例に未だかつてみない多數の檢體を取扱い,分離したコレラ菌株は千餘株に達したのである。
 われわれはこれら廣東,海防,釜山及び上海由來のコレラ菌及び田邊檢疫所において同年4月廣東引揚船から分離したコレラ菌,さらに同年7月中,下旬横須賀市大津地區に發生したコレラ患者より分離したコレラ菌について,主としてその菌型の決定に關して細菌學的檢査を行つたのでその結果をここに報告する。

保健所のペーヂ

BCGワクチン保存による變化の觀察

著者: 勝目徹意

ページ範囲:P.321 - P.322

 今囘使用したBCGワクチンは副作用も從來に比し輕症で,且陽轉率に於ても概ね所期の目的を逹して居るのであるが,BCGワクチンそのものに就いて若干觀察したので茲に記録する。

最近の文獻

インフルエンザB流行に對するワクチン接種の效果,他

著者: 增井

ページ範囲:P.323 - P.326

 近接せる陸海軍部隊にインフルエンザB流行が報告されたのを機會に,インフルエンザワクチンの豫防效果を調べて見た。前者は550人で,流行の1月前に,ワクチン豫防接種がしてあり,後者は1050人で,ワクチン未接種であつた。使用したワクチンは,インフルエンザA・B混合ワクチンで,ホルマリンでヴィールスを殺滅したものである。兩群共に綿密な豫防措置を講じたに拘はらず,前者は0.5%,後者は12.5%感染し,ワクチン豫防接種の效果が顯著にあらはれたものと考へられた。此のインフルエンザ・ヴィールスは,PR8株とLee株を以て血清學的研究を行つた結果,Lee株に一致することが判明した。

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら