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昭和21年4月より7月に至る間浦賀檢疫所において分離したコレラ菌の型について(其の一)
著者: 重松逸造1 小片保1 兵藤敏朗1
所属機関: 1公衆衞生院豫防醫學部
ページ範囲:P.318 - P.321
文献購入ページに移動昭和21年3月29日引揚邦人を滿載して廣東を出港した引揚船V075號が,一路内地に向け航行中,4月1日以來連日1〜5名の下痢叉は吐瀉患者を發生し,4月5日浦賀港に入港するに及び同患者は眞性コレラと診定されるに至つた。これが昭和20年10月外地よりの引揚を開始して以來はじめて内地に侵入したコレラの初發患者である。爾來同年5月上旬に至る迄引續き同方面よりの引揚船にコレラ患者を續出し,更に5月中旬海防よりの,6月下旬には釜山よりの,7月上旬より中旬にわたる上海よりの引揚船にコレラ患者を發生した。この間,浦賀檢疫所においては前例に未だかつてみない多數の檢體を取扱い,分離したコレラ菌株は千餘株に達したのである。
われわれはこれら廣東,海防,釜山及び上海由來のコレラ菌及び田邊檢疫所において同年4月廣東引揚船から分離したコレラ菌,さらに同年7月中,下旬横須賀市大津地區に發生したコレラ患者より分離したコレラ菌について,主としてその菌型の決定に關して細菌學的檢査を行つたのでその結果をここに報告する。
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