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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生30巻11号

1966年11月発行

文献概要

特集 人災と健康—第7回社会医学研究会・主題報告と総括討論

はじめに

著者: 庄司光1

所属機関: 1京都大学工学部衛生工学研究室

ページ範囲:P.593 - P.593

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 今日,一般に人災といわれている災害が,ここ数年来非常な勢いで全国的にひろがっている。このような国民の健康破壊,生命の損失に対して医学が大きな関心を持つことは当然であり,治療,予防の見地から多くの研究が進められている。第7回社会医学研究会は「人災と健康」を要望課題として演題を募集し,会員が全国各地,各方面の研究者ならびに住民と協力して行なった人災と健康に関する諸問題16題が得られたので,これを中心としてこのシンポジウムを行なうようになった。このシンポジウムを進めるに当って,私達は次の点に重点をおいた。
 災害は人間および財物が自然的あるいは人為的要因によって損傷される現象をいう。災害の形成は複雑な要因によるが,災害を形成する主要な要因を明らかにする必要があろう。災害発生には震災における地震,大気汚染における工場,自動車から大気中に放出される大気汚染物などのような素因があり,この素因には自然的なものと社会的なものとがある。災害が発生するにはこの素因のほかに現実に災害をおこす必須要因,発生した災害を拡大する拡大要因がある1)。そして必須要因は歴史的,社会的なものであり,拡大要因には自然的なものと社会的なものがある。人災と健康との関係を解明するに当っては,素因を明らかにするにとどまらず,むしろ必須要因,拡大要因を明らかにすることが重要であり,この点に社会医学の他の医学諸科学と違った独自の立場がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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