icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生30巻11号

1966年11月発行

文献概要

特集 人災と健康—第7回社会医学研究会・主題報告と総括討論 主題

中小零細企業労働者の安全衛生活動の社会医学的問題点

著者: 東田敏夫1 細川汀2

所属機関: 1関西医科大学公衆衛生学教室 2関西医科大学衛生学教室

ページ範囲:P.598 - P.601

文献購入ページに移動
はじめに
 中小零細企業労働者に対する安全衛生の問題は,単に産業医学の分野だけでなく,わが国の社会医学においても重要な意味をもっている。すなわち,労働現場における安全衛生が企業規模によって格差が著しく,そこに働く労働者が臨時工・下請工を含めて労災・職業病をはじめ健康が低下している。これはもちろん中小零細企業における労働条件や作業環境が劣悪であるためであり,あわせてそのために労働者の定着をはばんでいる。それらの基礎的要因として,日本の中小零細企業が大資本ないしは商業資本の下請けとして系列化され,その収奪をうけていることに問題がある。このような資本主義機構のなかで使用者に安全衛生への義務を果たさせ,労働条件を改善させて労働者の健康を守ることは決して容易なことではない。それらの壁を打開するために,今までいろいろと試みられてきた。たとえば,業者が協同組合を結成し,あるいは総合健保組合をもち健康管理活動の協同化をはかり,医療機関や保健所がこれらと協力している事例がある。他方,中小零細企業の労働問題においてもっとも大きい陰路となっている労働者の主体的活動は,ようやくその一部において労働組合の結成あるいはその活動が行なわれるようになっているが,まだまだ立ち遅れており,中小零細企業における労働者保健問題は機構的矛盾の根深さのために緊要な課題として残っている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら