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特集 人災と健康—第7回社会医学研究会・主題報告と総括討論 主題
中小零細企業労働者の安全衛生活動の社会医学的問題点
著者: 東田敏夫1 細川汀2
所属機関: 1関西医科大学公衆衛生学教室 2関西医科大学衛生学教室
ページ範囲:P.598 - P.601
文献購入ページに移動中小零細企業労働者に対する安全衛生の問題は,単に産業医学の分野だけでなく,わが国の社会医学においても重要な意味をもっている。すなわち,労働現場における安全衛生が企業規模によって格差が著しく,そこに働く労働者が臨時工・下請工を含めて労災・職業病をはじめ健康が低下している。これはもちろん中小零細企業における労働条件や作業環境が劣悪であるためであり,あわせてそのために労働者の定着をはばんでいる。それらの基礎的要因として,日本の中小零細企業が大資本ないしは商業資本の下請けとして系列化され,その収奪をうけていることに問題がある。このような資本主義機構のなかで使用者に安全衛生への義務を果たさせ,労働条件を改善させて労働者の健康を守ることは決して容易なことではない。それらの壁を打開するために,今までいろいろと試みられてきた。たとえば,業者が協同組合を結成し,あるいは総合健保組合をもち健康管理活動の協同化をはかり,医療機関や保健所がこれらと協力している事例がある。他方,中小零細企業の労働問題においてもっとも大きい陰路となっている労働者の主体的活動は,ようやくその一部において労働組合の結成あるいはその活動が行なわれるようになっているが,まだまだ立ち遅れており,中小零細企業における労働者保健問題は機構的矛盾の根深さのために緊要な課題として残っている。
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