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特集 人災と健康—第7回社会医学研究会・主題報告と総括討論 主題
「いわゆる白ろう病」と「三池炭鉱災害CO中毒後遺症」の社会医学的問題
著者: 野村茂1 南吉一2
所属機関: 1熊本大学医学部衛生学教室 2大阪府茨木診療所
ページ範囲:P.602 - P.606
文献購入ページに移動半世紀以上も昔に,西川光次郎先生は新聞紙上で,労働者の病気は,労働と食物と住家によるが故に,これは「人造病」というべきものであり,「医薬をもって治し得べきものにあらず。」と論じている。同じ頃に片山潜は「社会主義」誌上において,「炭坑夫の生命は芥の如し」と述べ,「比較的完備せる」三井三池炭坑でも,「毎日平均2人半強の死亡者あり………昨年の如き約1万余の中より800人余の坑夫は死亡せりという。またもって驚愕すべきにあらずや。」と説いている。さらに,内村鑑三も,じん肺の害を論じて,「貴き生命を犠牲にして,その工業の繁栄を図りつつある。これあに明白なる殺人罪ではないか。」と喝破している。
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