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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生30巻11号

1966年11月発行

文献概要

特集 人災と健康—第7回社会医学研究会・主題報告と総括討論 主題

薬剤による人災—添加物と医薬品に関するつの演題をめぐって

著者: 柳沢文徳12

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部 2農村生活研究部

ページ範囲:P.629 - P.633

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人災としての医薬品,食品添加物の相異と共通点
 添加物と医薬品に関する人災の2題の演題が行なわれた。薬剤は適正な科学的手段によって開発され,十分な監視のもとに使用されないかぎり,その目標から逸脱して健康に危険な化学物質となりひいては人災を惹起させる。その被害者は,労働者,農民などであり,他面では患者という不健康者自体であることさえある。不健康な生活環境条件下にある人が,その被害を受けやすいということは,社会保障の考え方からも問題が大きいわけである。
 抽象的な表現からさらに具体的に,本稿の薬剤を意味する人災の範囲を限定しておこう。これから述べる薬剤とは,医薬品と食品添加物の範囲にとどめる。そして食品添加物は天然の動植物の構成分となっていない化学的合成品を意味する。この両者とも,直接に人の身体の中に侵入(食品添加物は経口)する化学物質である。また,本質的にこの両階とも健康的な生活圏では不必要なものでもあるという共通点がある。また,その使用目的は,広義に解釈すれば生活上の弱点を生じたときに用いられるものでもある。行政的な面からみた許可の方式にも医薬品と食品添加物には多少とも類似点がある。そのうえ両者とも無書という安全性の保証条件をもっているものはきわめて少なく,「原則的に毒」である。しかし,人災として現われる経過は薬品の場合は急性または亜急性であるし,添加物の場合は慢性であるという一般的な概念において相違がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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