icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生30巻12号

1966年12月発行

文献概要

特集 公衆衛生の新らしい動き 展望

赤痢の実態と対策

著者: 春日斉1

所属機関: 1厚生省防疫課

ページ範囲:P.689 - P.694

文献購入ページに移動
赤痢の周期性
 昭和41年の赤痢は,質的にみれば著書が提唱した4指標をみても着実に一定の方向を辿っており,例外的な現象はみられていないが,量的には関西,東北,北陸の一部を除いた全国において,前年比,1.5〜2倍増加していることが注目されている(第1図)。昭和40年以降の赤痢の発生を,昭和35年から40年までの減少傾向を延長することによって単純に期待し,41年に至り反転上昇したことから防疫の過誤と断ずるのが国会やマスコミに代表される論点であった。しかし逆に,35年以降40年に至る着実な減少傾向の原因を,環境衛生の改善,抗生物質の進歩あるいは衛生水準の上昇などに求めてきた一部の学者,行政官の論拠もあまりに近視眼的であるという点では大差がない。そこで最も疫学の原則的な現象,赤痢の周期性から検討してみたい。一般論として伝染病の発生が季節的変化を示しながら,2〜10年の鞄囲で振幅していく,いわゆる周期変化のあることは否定できない。さらに周期変化は20〜30年あるいはそれ以上を単位とする大きな趨勢変動のなかの一断面にすぎないとも考えられる。
 ところで赤痢に周期変化ないしは趨勢変動が果たして存在するか。感受性者の蓄積によってその地域の感受性者密度がいわゆる限界密度を超えることによって流行が惹起され,その結果,感受性者密度が低下して流行閑期をむかえる。そして再び感受性者の蓄積が始まる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら