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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生30巻12号

1966年12月発行

文献概要

特集 公衆衛生の新らしい動き 展望

性病の実態と対策

著者: 酒井義昭1

所属機関: 1厚生省公衆衛生局防疫課

ページ範囲:P.695 - P.698

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 近時世界各国において性病の患者数の増加が報告されるようになり,1964年のWHOの報告によれば,梅毒は世界の72.4%,りん病は47.7%の国または地域において前年に比べて患者数が増加している。人口10万対比患者数の比率は東南アジア,西大平洋地域,東部地中海地域が他に比して高い。アメリカでは,1959年以降には届出患者数が増加しはじめている。1964年の人口10万対比梅毒患者数は62.9人と1950年以降の最低値を記録しているが,早期顕症梅毒患者数は依然として増加の傾向にある。特に24歳以下の若年層に顕著である。その感染源として,売春婦によるものは10%以下と推定され,同性愛などにより感染するケースもかなり多い。フランスその他ヨーロッパ諸国においても,同様の傾向がWHOの報告により認められる。
 性病まん延の原因を明確に把握することは困難であるが,性病についての知識の不足,若い世代の性についての解放的な考え方などによる感染機会の増大,自家療法などによる不完全な,または誤まった治療,交通機関の発達による伝染範囲の広域化などがその要因となっていると考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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