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特集 母子保健 談話室
母子保健雑感
著者: 内藤寿七郎1
所属機関: 1母子愛育会病院
ページ範囲:P.58 - P.59
文献購入ページに移動愛育研究所が開設された昭和13年,すなわち今から27年位前,わが国の幼児死亡率は114で,当時ニュージーランドは30位であまりにも低率でわが国との差がはなはだしいので,私共にとっては信じ難く統計の誤まりではないかとすら思えた。
日本の乳児死亡率を(1963年)23.2というような数にまで減少させ得るとは思ってもみなかった。多産多死であった当時はまた多産奨励のことなどを思い出す。私共が検診に訪れた岐阜県の長良川上流のある村などその最も著しい例であった。その村で20人の子供を一人で産んだお母さんがいて,これが全部育って表彰されたように覚えている。しかしとれはその村でも例外で,村では多数生れて多数が死亡していた。ことに6カ月から1年位までの間のいわゆる離乳期に死亡するものが多く,村の老婆達は"乳離れ時はとられやすいものだ"と最初からある程度の死亡はやむを得ないときめてかかっていたようであった。
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