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文献概要
特集 母子保健 海外事情
英国における母子保健の動勢
著者: 高石昌弘1
所属機関: 1国立公衆衛生院母性小児衛生学部
ページ範囲:P.80 - P.85
文献購入ページに移動大都会の共通の特徴としてLondonも交通量の多いことでは他にひけをとらないようである。従って道路の横断に大変な気を使わねばならぬ点は東京と全くよく似ている。しかし,子供の手をひき,あるいはpram(乳母車)を押しながら道路を横切ろうとすると,意外に容易に渡れるので驚くことがある。もちろん,例外がないわけではないが,子供をみたら必ず止ってくれるのが普通である。もともと,運転マナーについて,Europeでは行儀の良い方に属する英国人のことではあるが,子供に対してはことに神経質のようである。それに加えて,郊外の小学校の近所では,必ず登校時間に,子供達の安全を守るための交通整理が行なわれている。東京でいえば緑のオバサンに当る人達であるが,巡査ほどのいかめしさはないにしても,なかなかの権威をもって行きかう車をさばいている。また,親達の方も,神経質すぎると思う位しっかりと子供の手を握って道路を横断するのが普通である。当りまえの事なのだが,それがきわめて自然に守られている点,さすがだと思わざるを得ない。
道路の横断は,ほんの一例にすぎないが,一般的に母子保健および福祉に関する社会の働きかけを眺めていると,英国人のもつ母子尊重という社会習慣の深さに感心させられることが多い。
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