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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生30巻3号

1966年03月発行

文献概要

特集 衛生監視制度 海外事情

アメリカの衛生監視制度

著者: 児玉威1

所属機関: 1神奈川県衛生研究所

ページ範囲:P.129 - P.132

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はじめに
 古代ローマではすでに飲用水の監視に監視員がたずさわっていた。また1350年頃フランスには衛生警察官があって,豚が市内をうろついたり,魚や肉の廃棄で街が汚染されるのを取締っていた。このように古くから衛生監視が行なわれたのは,市民生活の安全や街の不潔の防止のためであった,その後も衛生監視が重視されたのは,疾病流行の原因の瘴気説のためであって,この説では悪臭や動植物の腐敗の結果が,社会保健上悪い影響を与え,ホコリや不潔は疾患を誘発すると考えた。このように,初期の衛生部の環境衛生監視活動は有害物除去と汚物処理に関連していた。
 19世紀に入って公衆衛生活動としての衛生監視が急速に発展した。イギリスは近代公衆衛生活動と監視制度の発祥の地であるが,とくに衛生監視員の養成制度はすばらしいものと称されている。すなわち衛生監視員に任命されるには,まず十分に系統樹てられた専門的訓練の課程を終了し,さらに資格を得る前に厳格な試験に合格しなければならない。この場合,衛生行政の第一線の現場における実務的な職員としての徒弟的な養成方式をとっていることが特色である。しかし,その後,名称もPublic Health Inspectorと改められ,1960年9月から新制度による養成が行なわれていることは,吉本氏の報告にみるとおりである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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